食と商いの原点に還る 琵琶湖沿岸バスツアー
今回の繁盛塾は年に1度の人気企画!「滋賀県の人気施設を巡るバスツアー」と題し、年間60万人もの集客を誇る“たねや・クラブハリエ”と、農業体験や食事ができる施設として人気の“ブルーベリーフィールズ紀伊國屋”を訪れました。
一行がまず向かったのは、近江のゆったりとした街並みにたたずむ「たねや」。到着後すぐ、小売店の2階にあり食事もできる空間として利用されている広間にて、代表取締役社長 山本 昌仁氏よりご講演いただきました。明治5年創業、近江八幡の地に根付く老舗菓子店に生まれた山本氏は、職人として修業されたのち4代目代表に就任、さらなる事業強化に奮闘されています。
今や全国の百貨店でその名を轟かせているたねやグループですが、今日に至るまでには伝統を守りつつ新しい風を取り入れ、磨き抜いてきた背景があったのです。「和菓子を次世代の食文化に継承する」という山本氏のお言葉から、ひたむきな情熱と広い視野で業界を見渡されていることが伝わってきました。
また、従業員満足を最も大切にするたねやの教育方針では、売上の数字ではなくどれだけのお客様と心を通わせられたのか、その数を問うと山本氏は語ります。「売上を気にするばかりでは人の道を外してしまう。儲けようとする前にそれが人の道であるかを見極める」そんな志のもとで育まれる商品とスタッフだからこそ、これまで長く支持されてきたのであり、今後もますます輝いていかれることでしょう。
講演後はたねや本店と、併設される焼きたてバームクーヘンが楽しめるクラブハリエを自由に見学し、商品力の高さやスタッフさんの気持ちの良い接客を体感しました。遠方からの来店客も多くみられ、お店の中は大賑わいでした!
その後、近江八幡を後にして向かった先は有限会社ブルーベリーフィールズ紀伊國屋が運営する体験型お食事施設・「ソラノネ」です。あいにくの雨と寒さの中、大自然が広がる施設の一角でかまどご飯炊き体験をさせていただきました。代表の息子さんである松山 剛士氏ご指導のもと、昔懐かしい薪割りやかまどの火起こしに挑戦した皆さんは大興奮!
やっとの思いで炊き上がった白米と、ソラノネで収穫されたサツマイモ入りご飯はここでしか味わえない特別なものです。地産の野菜をふんだんに使った体に優しいおかずやお惣菜と一緒にいただきました。
30数年前、琵琶湖のキラキラ輝く大パノラマに魅せられ、シングルマザーとしての再起の場所にこの地を選んだ岩田氏は、知識も経験もないまま生産者の道を歩き出されました。「作り手が少なくニーズがあるものを」と考え、以前料理教室で聞いた「フレッシュブルーベリーが手に入れば料理の幅が広がる」という言葉を思い出し、自らが生産することを決断されます。
食事を終えた一行は次に、同じく㈲ブルーベリーフィールズ紀伊國屋の経営で成安造形大学内にある「カフェテリア結」へ。ここではブルーベリーのケーキとジュースをいただきながら設立者である代表取締役の岩田 康子氏に、今日までの奮闘劇をお話しいただきました。
本屋で出会った1冊の本を頼りに栽培方法を学びながら憧れの琵琶湖での生活をスタートしたのですが、冬には水路が詰まってしまう山奥の暮らしの厳しさや、ブルーベリーの価格競争など次々と課題に直面されたそう。しかし、ピンチの時こそ岩田氏持ち前のポジティブ思想が発動!大地との共存に感謝をしつつ、自然との闘いを楽しんで乗り越えてきたのだと笑顔で語られました。
「価格競争の中に安全な食はありません。食を扱う立場としてお客様にこれを食べてもらいたい、という意思を魅力的に伝えていきましょう」という言葉で締めくくられました。母として、生産者として奮闘された岩田氏だからこそ胸に届く、素敵なお話を聴かせていただきました。
参加された皆さんからは「両講師から食へのこだわりを貫くことの大切さを学びました」「かまどご飯は想像以上に美味しかった!いい経験になりました」などのご感想を多数いただきました。これからも日本を元気にしている食を追い求め、繁盛の秘訣に迫り続けます!