あかりで空間が変わる 人を魅了する照明の力
今回のテーマは「飲食店のあかり」。家庭用からレストラン・ホテルまで、さまざまな規模の照明を手がけるコイズミ照明㈱のショールームを訪れ、施設見学も交えながら光の特性・特徴についての基礎知識から、空間を最大限に生かすあかりの魅力、料理をより上質に見せる照明の力についてLCR統括室長 石田 秀樹氏にご講演いただきました!
石田氏は、入社当初から店舗・施設系の営業担当として様々な物件に携わられ、その後、商業施設、ホテル、レストラン、博物館から個人住宅に至るまで、全ての照明設計の方針を決定する照明設計部門、LCR(Lighting Creative Room)であらゆる業態の照明設計提案の統括責任者として東京を中心に活動されています。
まずは、光と人間の心理について、施工事例を交えながらお話ししていただきました。ネットからの情報や、お店の雰囲気が来店動機になることが多いなか、照明が集客に大きく関係しているのだと石田氏は言います。光の力の例として、「サバンナ効果」という人間が明るい場所を目指す心理を利用したお店の紹介がありました。店を外から見たときに、窓越しに奥の明るさを感じさせることで、人が進みたくなるように行動を誘発できるのだそうです。そのほかにも、人が活動的になったり、くつろぎを感じたりする光の色や高さ、強さなどの話から、男女で異なる好みの空間にはこの光の法則が関わっているという話まで、普段私たちが何気なく感じている光の力について専門的に教えてくださいました。
心理についてお話の後は、飲食店に取り入れやすい照明についてお話いただきました。お店の雰囲気作りでは、ある空間に入ったときに最初に視線が集中するところである「フォーカルポイント」を意識することが大事だと石田氏は言います。お店全体に照明を当てるのではなく、より見せたいところに光を集めることで視線を誘導し、空間全体の印象を決めることができるといいます。このほかにもボタンひとつで調光・調色・照射時間が変えられる次世代のLED照明や、外装材と照明の関係性など、さまざまな照明に関する興味深いお話をしていただきました。今すぐにでも取り入れやすい光の使い方や最新の照明のお話に、参加者の方々は引き込まれるように熱心に聞いておられました。
講演のあとには、グループに分かれてショールームの見学をしながら、各セクションを担当者の方にご説明いただきました。光を当てたモノの色を鮮やかに見せる光の演色性の解説セクションでは実際に当社の肉を使用し、普段の照明と演色性の高いLEDを当てたときの見え方を比べました。照明によるお肉の発色の違いに驚きの声が上がっていました。そのほかのセクションでも、様々な照明を目で見て体感して、講演の内容をより理解していただける見学会となりました。
参加者の皆さんからは「デパートの食品コーナーで照明をブースごとに変える理由がすごくよく分かりました。」、「普段何気なく見ていた店舗の照明に様々な狙いがあったことに驚きました!」、「明るさを調節しながらの実験が分かりやすかったです。」などのお声をいただきました。生活に身近な光について改めて学び、自店での照明について考えていただけるとても良い機会にすることができました。