岡山フードサービス株式会社

人と環境が安心を育む 北海道サロマ和牛提案会

今回のテーマは「北海道・サロマ和牛」。自ら仔牛を買い付け、自社専用工場で作った飼料を与え、子育て手帳に生産過程の全てを記して、一頭一頭大切に育てられているトップファームグループのオリジナルブランド牛です。生産者の井上 登氏が語る、幸せに育った牛の物語を聞き、その味を確かめながら北海道和牛の可能性に迫りました。

 まずは、トップファームグループを弊社にご紹介くださったJA全農ミートフーズ株式会社の中村 宏氏が登場。「ここが違うぞ! サロマ牛」と題して、肥育方法や特徴について語っていただきました。

 牛はその成長過程において、2~3軒の生産者を介するのが一般的ですが、トップファームグループでは、生後まもない仔牛の買い付けから出荷までを一手に行っています。それにより、安全な餌で、安定的に、味のブレなく育てることが可能なのです。 「松阪牛」や「神戸牛」など、世の中には数多くのブランド牛が存在しますが、生産者によって育てる場所や餌は異なります。一方「サロマ和牛」はトップファームグループが商標登録をしているブランドであり、全頭を同じ生産者で管理している貴重な和牛なのです。食肉のスペシャリストの視点からトップファームグループの魅力をお伝えいただいたところで、代表の井上 登氏のご登場です。

 農家の4代目として生まれた井上氏は、18歳で就農し、30歳の時に酪農から肉牛業界に参入しました。はじめは素牛(もとうし)と呼ばれる仔牛を育て、全国の肥育農家に販売をしていましたが、その後、範囲を拡大し、自らで肥育から出荷までを行うようになりました。

さらに、和牛の繁殖牧場を譲り受けたことをきっかけに、平成24 年から本格的な和牛育成に参入することになります。こうして徐々に規模を拡大してこられた経緯から、トップファームグループには、牛乳を搾るための乳牛、交雑種の「サロマ黒牛」、黒毛和種と言われる「サロマ和牛」と、それらの仔牛たちが育てられています。井上氏が「牛さんの百貨店」と言われるのも納得です。年間の出荷頭数は4000頭。「格付け表を見ただけでは分からないことがある」と、出荷前に全ての肉質を検品されているそうです。

 自社の飼料農場の規模は250ha(東京ドーム約50個)!牛の肥育ステージごとに餌を変え、最初は元気に健康に、後半はより美味しくなるように餌の管理をしておられます。また農場から出る堆肥を畑に還元して、循環型の飼料を作る徹底ぶり。その背景には生産者として安心・安全なものを消費者に届けたいという強い想いがあります。その姿勢を体現しているのが、日本で第1号の農場HACCP認証取得とJGAP認証(食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証)です。

 平成15年に取り組み始めた当時はHACCPの意味すら分からなかった、と井上氏は微笑みます。ちょうど、家族経営から会社経営に拡大しつつあった時期であり、HACCPを導入することは社員教育につながると考えたのだとか。

当時は認証機関すらなく、地元の役場や家畜保健所の方に協力してもらいながらの手探りの挑戦でした。何十回も打ち合わせを繰り返し、諦めずに取り組み続けた結果、平成25年にHACCPの認証機関ができたと同時に手を挙げ、日本第一号の認証という快挙を成し遂げたのです。

 大切に育てた牛をと蓄場に送り出す時、最高の花道を歩いてほしいとの想いから「赤いじゅうたん」を敷いていることをお話された後、「私たちは生産のプロです。プロとして今後も皆様に喜ばれる肉用牛の生産を追及してまいります。その後は、皆様にバトンをお渡しします。どうか大切に消費者の方へお肉を届けてください。」と締めくくられ、会場から大きな拍手が上がりました。

 講演後はメニュー解説をはさんで、いよいよお待ちかねの試食会です! サロマ和牛とサロマ黒牛のサーロインステーキの食べ比べをはじめ、サロマ和牛ウデ肉のしゃぶしゃぶ、サロマ黒牛ウチモモのローストビーフ、サロマ和牛のチマキを使用したビーフコンソメスープが登場。さらに、井上氏が北海道から持参されたトップファームグループオリジナルのコーンドビーフなども並び、大切に育てられた牛肉に舌鼓を打ちました。
 

 参加された皆さんからは「お客様にも生産者の想いを伝えたいという気持ちになりました」、「従業員教育に農場HACCPを取り入れるという発想は勉強になりました」、「牛さんの“さん”付けこそが井上氏の牛への愛情を物語っていると思いました」などのお声をいただきました。トップファームグループの皆さんが大切に育てられたサロマ和牛のバトン。その熱い物語を参加者の皆さんと共有できたことを感謝します。これからできるだけ多くの方々にサロマ和牛の魅力をお伝えできるように頑張らなければ! と決意を新たにしたのでした。

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