岡山フードサービス株式会社

日本人の9割が知らない世界を襲う食糧危機 どうする日本。私たちの食の未来。

300回目を迎えた今回は、「食の未来を考える」がテーマ。世界規模の食糧危機が迫る中、農業の衰退が進み、食糧の大多数を輸入に頼らざるを得ない日本…私たちにできることはあるのでしょうか?元農林水産省の菱沼 義久様にご登壇いただき、世界と日本の食糧事情や国が掲げる新たな食糧戦略について学びました。

 特別講演では、菱沼氏も策定に携わられた2021年5月農林水産省発表の食料生産方針「みどりの食料システム戦略」を基に、日本の食糧事情について分かりやすく解説いただきました。
 現在、日本の食料自給率はカロリーベースで38%。これは、日本人が1日で摂取すべき食料のうち、38%しか国内で確保できていないという危機的状況を表しています。昭和40年には76%あった自給率がここまで低下したのは、高度成長期が境だと菱沼氏は言います。この頃から日本の食生活は洋食中心へと変化。日本では生産しづらい小麦を使ったパン・パスタ、飼料のほとんどが海外産である牛肉の消費が増え、食生活が変化したことが、自給率低下の大きな一因となっています。また、石油・受粉用みつばち・果物生産に必要な花粉・緑豆もやしの種など、農業用資材には自給率がゼロのものが多いのも問題です。今後もし諸外国がブロック経済を進めれば、日本への食料の供給が断たれる可能性も十分にあります。
 そうした未来を防ぐためには、時代と需要に合わせた「令和の日本型食生活」を消費者に訴求することが重要だと菱沼氏は言います。自給率を上げるためとはいえ、今さら昭和40年代の食生活に戻ることは不可能。多種多様なものを食べたい、健康志向の高い食事がしたい、という現代の消費者ニーズに応えるためには、データに基づいた「総合的な健康メニュー」として国産物を積極的に使い、地産地消の重要性を啓蒙していくことが、日本の食料自給率改善にも繋がるのではないかと語られました。

 第二部のパネルディスカッションでは弊社代表の岡山も登壇。食料の安定供給に向けて議論しました。
 日本の農業従事者の平均年齢は68歳。農地面積は1人あたりに換算すると増えている地域もあるそうですが、放棄地が多く点々としているため、諸外国のような大規模農業は難しいのが現状。産業と呼んでいいのか、というレベルの危機的状況です。
 これからの時代の農業は経験と勘で行うのではなく、経営感覚を持った企業が参入していくべきだと菱沼氏は言います。川上(生産地)→川中(流通・加工)→川下(販売・消費)が同じ思考を共有し、ミスマッチをなくした上で、明確な販路を確保する。ロボット農機やデータを利用してプラットフォームを築くことが国産国消の普及に繋がります。日本の食を支える取り組みは一社の力だけでは決して叶いません。それぞれの得意分野を活かし、新たなビジネスモデルを構築することが明るい食の未来を切り拓く一歩になると言えそうです。

 参加者の皆さんからは、「危機感を正しく捉えることができ、食糧問題に対する当事者意識が生まれた」、「自らが関わる食業界の未来と向き合うきっかけになった」など、絶賛のお声を多数いただきました。
 講演会後には、繁盛塾が300回を迎えた記念として懇親会も開催。弊社が取り扱う国産中心の食材や、鹿児島の自社農場で生産したさつま芋やお茶を使ったメニューをお楽しみいただきました。岡山フードサービスでは現在、循環型農業や直売所といった食の6次化を進めています。明るい食の未来に向けてこれからも皆さんと共に挑戦し続けたいと思います。

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