外食産業の仕込みが変わる 特殊冷凍のススメ
今回は去年10月に開催した「冷凍即食のススメ」に続き、冷凍について深掘りする“冷凍のススメ”第2弾。コロナ禍を機に一気に拡大した冷凍市場の中で目覚ましい進化を遂げている『特殊冷凍』について、1万社以上に冷凍機の導入サポートをされているデイブレイク株式会社の代表 木下様に解説いただきました。
70年続く老舗冷凍会社の3代目社長の座を捨て、「特殊冷凍」というテクノロジーで新たな食材の価値を生むべくデイブレイク㈱を立ち上げられた木下氏。急速冷凍機の販売代理店をするうちに、機械による長所や短所、向き不向きな食材が分かってきたと言います。「もっとこんな冷凍機があれば価値を上げられる!」そんな想いから、ついに自社でオリジナル冷凍機『ARTLOCKフリーザー』を開発、現在は特殊冷凍のコンサルティング活動もされています。
「冷凍すると味が落ちる」そんな時代から「冷凍のほうが美味しい」という時代が来たと語られた木下氏。特殊冷凍は一般的な緩慢冷凍に比べて、食品の水分が凍る時間が短く、細胞へのダメージを抑えられるため、品質を高く保つことができます。また、真空パックに詰めることなく裸のまま、熱々のまま凍結できることも特徴の一つです。
しかし、冷凍機を導入したからといって必ず良いものができるわけではないと言います。食品業界で冷凍機を上手く使いこなせているのはたったの3%。冷凍に合うようにレシピを作り変え、適切な温度帯で保管し、食品ごとに解凍方法を変えることで、やっと特殊冷凍の良さが最大限に発揮されるのです。特殊冷凍を導入し成功した事例として、製造工場で職人が焼き上げたうなぎを冷凍し、店舗では蒸すだけで高品質な料理を出せるようになったうなぎ屋や、旬の時期に大量に水揚げされた魚を捌いて、すぐに特殊冷凍することで原価率を下げた海鮮居酒屋など、戦略や売上の数字も交えながら解説いただきました。冷凍仕込み率100%の店舗もあるそうで、仕込みの改革がすでに進んでいるのだと実感しました。
また、特殊冷凍は物流問題の解決にも貢献すると言います。「物流2024年問題」が迫るなか、特殊冷凍を活用することで品質を保ったまま、美味しい食材を全国に届けることができます。木下氏は、特殊冷凍を通じて食品業界の様々な課題に向き合うことが自分たちの使命であると熱く語られました。
特別講演のあとには、木下氏のもとで営業として活躍されている安彦様より、ARTLOCKフリーザーのデモ機を使った解説をしていただきました。庫内のファンによって乾燥を防ぐ独自の機構やAIによる制御など、こだわりの詰まった冷凍機に参加者の皆さんも興味深く話を聞いておられました。
試食会では、「緩慢冷凍と特殊冷凍の違い(見本)」、「緩慢冷凍と特殊冷凍の食べ比べ」、「特殊冷凍メニュー」の3つのコーナーに分けてご提供。油調済みのとんかつを冷まして緩慢冷凍したものと、アツアツのまま特殊冷凍したものの食べ比べでは、「ジューシーさや衣のサクサク感が違う」と驚きのお声をいただきました。その他にも、作りたてを特殊冷凍し、解凍するだけで提供できる牛太巻きや青椒肉絲、麻婆豆腐など、店舗での活用イメージが膨らむようなラインナップをご用意しました。
お客様からは「冷凍に対してマイナスなイメージがあったが、工夫次第で付加価値に変えることができると感じた。」、「技術に頼りきるのではなく、利用者が冷凍に関する知識をつけることも大事だと感じた。」など、勉強になったというお声を多数いただきました。当社も冷凍機を導入し絶賛研究中!ぜひ一緒に商品開発をして、現場の人手不足に貢献させてください!