岡山フードサービス株式会社

“食”から始まる地方創再生 淡路島の繁盛店を巡るバスツアー

5年ぶりのバスツアーの行き先は淡路島の西海岸。住人がおらず荒廃していた土地を、多くのヒトが集まる一大観光地に仕立て上げた仕掛け人 株式会社バルニバービの佐藤氏より、地方創生への想いや人気エリアの誕生秘話を語っていただきました。また、地元生産者として活躍されている淡路麺業株式会社を訪問。両施設の見学を通して、食から地方を盛り上げる術を学び、遠くてもわざわざ行きたくなる繁盛店の秘訣を探りました。

 朝9時になんばを出発したバスは約1時間半かけて淡路島へ。まずは、元々小学校だった校舎を改装したコミュニティスペース「SAKIA」にて、㈱バルニバービ 代表取締役会長 CEO兼 CCO佐藤 裕久氏にご講演いただきました。
 佐藤氏が掲げる“地方創再生”に取り組むきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災。交通が遮断され仕入れもままならなくなったことで、当時の都市集中型に危機感を覚えたと言います。その後、日本各地を訪問し地方の可能性を感じた佐藤氏は、本格的に地方創再生に取り組み始めました。地方の課題は退屈・卑屈・窮屈の3つの屈だと考え、積極的に地元業者の食材を活用して関係性を築き、地元の人でも食べに行きたくなるようなレストランを作ることで、多くの地域住民に信頼されるようになったそうです。「あなたたちがやると町が面白くなるから」と無料で土地を貸してくれたというエピソードに、その関係性がよく表れていました。

 佐藤氏の講演の中で特に印象的だったのは、なぜ飲食店を始めたのかというお話でした。1995年1月に起きた阪神淡路大震災。佐藤氏は被災地の炊き出しに参加されたそうです。質素なおかゆにも関わらず多くの人が笑顔になる様子に“食べ物にはすごい力がある”と強く感じ、食で人を喜ばせることが自分の喜びなのだと気付いたそうです。その後、南船場に1号店をオープンし97店舗まで拡大した今でも、その考えを軸に「食べ物を調理して運ぶのがレストランではない。人を喜ばせることがレストランだ」とスタッフに伝え続けておられます。

 ご講演の後は再びバスで移動し、バルニバービが手掛ける、20軒以上の飲食店や宿泊施設が立ち並ぶ大人気エリアFrogsFARMへ。淡路島の食材をふんだんに使ったイタリアン「GARB COSTA ORANGE」や、地元の水産会社と提携して都心には出回らないような地魚のお寿司が楽しめる「淡路島 回転ずし 悦三郎」、その他にも韓国料理、ハンバーガー、パン、アイスクリームなど様々なお店を自由に散策し、遠くてもわざわざ行きたくなる、その魅力を体感しました。

 FrogsFARMでの見学の後は、2軒目の目的地である淡路麺業㈱へ。佐藤氏が淡路島に注目するきっかけとなった会社です。
 創業100年を超える淡路島を代表する老舗の製麺所で、当初はうどんを販売していたそうですが、明石海峡大橋の開通と共に安いうどんが淡路島へ流入し、業績は悪化の一途を辿っていました。「このままではあかん!」と立ち上がったのが5代目社長である出雲氏。まだ日本であまり普及していなかった生パスタに着目し、何度も何度も試作を重ね、新作が出来上がっては自らの足でレストランへ売り込んだそうです。乾麺にないモチモチ感と麺の美味しさが支持され取引先が増加。業績をV字回復に導きました。今では生パスタ専門の製麺所として数十種類のパスタを製造・販売するほか、直営のレストラン「パスタ フレスカ DAN-MEN」を併設し、観光客のみならず地元の方々にも愛されるお店となっています。

 会社紹介のあとは、実際に調理をしながら生パスタの特徴や美味しさを最大限に引き出すコツを教えていただきました。出雲氏自らフライパンをふるいながら、ゆで時間やソースと合わせるタイミングなどを丁寧にご説明いただき、出来たてを試食しました。参加者の中には、「自店で使っているけど正しい調理法を理解できていなかった」と熱心にメモをとっている方もいらっしゃいました。

 参加者の皆さんからは、「佐藤氏の講演や、FrogsFARMの見学を通して、飲食店が町を、そして地域を活性化できると改めて感じた」、「出雲氏のピンチをチャンスに変える熱意を目の前で体感して自分も頑張ろうと思った」など、絶賛のお声を多数いただきました。これからますます注目の集まる淡路島の進化に目が離せません!

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