空気感をデザインする 選ばれるお店の創り方
今回は、「デザインから学ぶ繁盛店づくり」がテーマ。空間デザインの分野から外食産業へと参入し、カジュアルで落ち着きのある店づくりと魅力的なメニュー、独自の仕掛けの数々で消費者の心を掴んでいる㈱カームデザインが経営する「グッドスプーンジョーテラス店」を訪れ、代表取締役の金澤 拓也氏に繁盛店づくりの秘訣を学びました!
大阪市平野区に生まれ、幼少期から建築関係の仕事につきたかったという金澤氏。元々バーや居酒屋のようなアルコールを扱う空間作りに興味があったことから、店舗デザインの会社に入社し、27歳で独立されます。しかし全てが順風満帆だったわけではなく、ほとんど給料がもらえない苦しい時期もあったのだとか。そんな中でも変わらずに温めていた「お手頃な値段でワインや洋食が楽しめる空間を作りたい」という想いが、今のグッドスプーンのコンセプトに繋がっているのだそうです。
株式会社カームデザインが大切にしているのは「立体感を出すこと」。あの大阪の名物スポット、新世界エリアにひしめくお店の約半数の外装デザインを手掛けたというのは驚きです! 他にもたくさんの事例で参加者の皆さんを引き込みながら、店舗における外装デザインの重要性と、行きたくなるお店を作るために必要な要素をわかりやすくお話しいただきました。
また現在は空間デザインのみならず、メニュー開発やオペレーション教育に至るまでの店舗プロデュースも手掛けておられます。そうしてお店に携わっていくうちに、スタッフの接客や音楽など、目に見えない「お店の空気感」について考えるようになった金澤氏。飲食店に来るお客様は「ご飯を食べるだけの空間」ではなく「時間を楽しむ空間」を求めて来られているのであり、
それをより豊かにデザインで表現する必要性を感じたのだそうです。この考えを確かめるために、自社で飲食店舗を開業し、予約が埋まるほどの人気店を創り上げていったのです。
そんな数々の実績を上げられた現在では、新店スタッフのアルバイト応募をかけると、なんと300人もの応募があるのだとか。飲食業界が人手不足にあえぐ中、それほどの人財を集めることができるのには、カームデザインが掲げるコンセプト「カシコイ・カッコイイ・カナウ」の「ニュー3K」に理由がありました。
人財確保に苦しんでいた時期、金澤氏は「若者が飲食店で働きたくない理由」について調べられたそうです。すると、意外にも「ダサいと思われる」という理由が上位だったのです。また、20代はチームワークを重視して働きたいのに対し、30代は独立できることを重視するという事実を知り、社員が将来的に「自分をデザインできる」会社を作ろうと決意を固められました。将来的にはホテルやフィットネスジムなどを取り入れた斬新な飲食事業の展開を考えているという金澤氏。「今後の目標は外食業界のブランドになること」という、夢に満ち溢れたお言葉で講演を締めくくられました。
講演後はグッドスプーンジョーテラス店のコンセプト “ラグジュアリーなBBQ”を代表する人気メニュー「ミートプラッター」をいただきました!
落ち着きのある空間と、オシャレな店内装、見た目にもインパクトのある美味しいお料理に身も心も満たされ、ご参加いただいた皆さんからは、「金澤氏の店づくりや出店戦略は大変勉強になった」、「他社にないコンセプトを掲げる理由がよく理解できた」、「お料理がボリューミーでとても美味しかった」などのお声をいただきました。
デザイナーとして飲食店と関わることで、「外食産業はレジャーになり得る」ことを発見した金澤氏。これまでの概念にとらわれない、新たな事業展開を語る姿に、飲食店の明るい未来を見い出すことができました。
開催日の2日前に大阪府北部で発生した地震の影響もあった中、快くご対応くださったスタッフの皆さん、ありがとうございました!