郷土で日本を熱くする 地方と街を繋ぐ繁盛店
今回は、「繁盛店視察」がテーマ。特定の地域に特化した郷土料理が食べられる、という明快なコンセプトでお客様の心を掴んでいる㈱ワールド・ワンが経営する「土佐清水ワールド 梅田お初天神店」を訪れ、代表取締役の河野 圭一氏から、なぜ郷土・地方に注目したのか、業態開発の想いや仕組みについて語っていただきました。
まずは、土佐清水市長 泥谷 光信氏よりご挨拶をいただき、高齢化や過疎化の問題を抱える中、ワールド・ワンとの連携から食の魅力を伝え、地域を元気にしたいという想いを語られました。
その後、ワールド・ワンのグループ会社の一員であり、産地と店舗を繋ぐ要として全国を飛び回っておられる株式会社郷土活性化組合 取締役の竹田 真氏が登場。生産地域と連携協定を結ぶことで、人・モノ・流通が活性化すること、また複数の地域と協定を結ぶことで、特定の地域にない食材を他の地域から補うことができるというメリットについても語ってくださいました。生産者側には、ご当地米の生産量・利益が増える、食材の取引量が増えて後継者問題が改善されるといった波及効果もあるのだそうです。企業と地域が絆を結び、互いに支え合い、考え合いながら発展する仕組みに、参加者の皆さんも興味津々のご様子でした。
続いて株式会社ワールド・ワン 代表取締役 河野 圭一氏が登場。神戸市に生まれ、21才で小さなカラオケスナックを経営するという、若くして独立意欲に溢れていた河野氏。阪神淡路大震災で被災し、一度は閉店へと追い込まれるも、当時働いていたメンバーと大阪へ移り住み、今度はダイニングバーを出店されます。ご講演では、開店して間もなく繁盛店となるも、わずか半年で客数がゼロとなってしまった苦い経験や、その後格闘技の世界へ参入し、海外で修行したという波乱万丈なエピソードも。日本でプロレスラーとしてデビューし全国各地へ巡業する中で、ワールド・ワンの原点となる郷土料理の魅力に気付き、飲食の世界でもう一度チャレンジしようと決意されたのです。
生産者と一緒になって食材をかき集める産地直結の取り組みからスタートし、現在では隠れた地域の食材を紹介する「地域食材フェア」も行っているワールド・ワン。その活動の中で出会ったのが土佐清水市でした。片道8時間かけ訪問した現地で、高齢化や過疎化の問題を抱えながらも、若手生産者たちの熱い思いを感じたという河野氏。神戸での土佐清水フェア開催をきっかけに交流が深まり、市と連携協定を締結。地元の漁師やデザイナーの協力もあり、よりリアルな土佐清水の文化を感じられる店をオープンする運びとなったそうです。決して平坦ではない河野氏の道のりに、参加者の皆さんも胸を熱くされたことでしょう。
講演後は『繁盛塾特別コース』として土佐清水ワールドの人気メニュー、かつお・ブリ・あしずりキングの藁焼きや土佐清水産のお刺身などをいただきました! 海の豊かさと港の活気を感じるにぎやかな店内で、生産者の思いが詰まった本場の美味しい郷土料理に身も心も満たされ、ご参加いただいた皆さんからは、「土佐清水のことがもっと知りたくなりました」、「多くの苦難を乗り越えられた河野氏の熱い思いが伝わりました」、「どの食材もとても美味しかった」などのお声をいただきました。
血の滲むような模索の先に、郷土料理から日本の食文化の根源を見つけた河野氏。生産者と消費者を結ぶ、外食産業の今後の役割について考えることができました。