岡山フードサービス株式会社

売上UPへの道を探る 飲食店の情報発信術★

今回は、「飲食店の情報発信」がテーマ。食に関するセミナーを数多く手掛ける㈱ケーススタディ 代表取締役 荒井 静雄氏をコーディネーターとしてお迎えし、飲食店にとって欠かせないメニューブックとWEB・SNSに長けた2名の特別講師から、飲食店が今やるべき情報発信の方法について学びました。

 1人目の特別講師は、300社以上のメニューブック作成に携わり、雑誌「月間食堂」の連載やデザイナー向けスクールの運営も手掛ける、株式会社メニューデザイン研究所 エバンジェリスト 谷口 泰崇氏。

 谷口氏が手掛けられた神奈川県のやきとり店を例に挙げ、メニュー改定が店にもたらす効果についてお話いただきました。多くの飲食店はメニューブックのフォントや写真など見た目を重視しがちですが、専門家は「顧客満足度UP」「客単価UP」「原価率調整」「オペレーション負荷の低減」「店舗ブランド力の向上」という5つの役割を念頭に作成するそうです。こちらの店舗では覆面調査の結果、料理の提供が遅い・おすすめが伝わっていない・客単価が低いという課題が浮かび上がりました。そこでスピードメニューページの導入や、名物化したい鍋ページを充実させた改定を行うことで、各メニューの出数調整に成功、客単価アップや原価率ダウンに加え、串をお待たせすることがなくなりお客様からのクレームが減ったそうです。

 また、グランドメニューとは別に「指南書」というツール作成を谷口氏は強く勧められました。お店のこだわりやオススメの食べ方を記した「指南書」は、スタッフのスキル不足や、ピークタイム時にお客様へのメニュー説明が不十分になるといった悩みを解消できると言います。メニューブックをスタッフの一人だと考えることで、顧客満足に直結する接客サービスに人員が割けます。他にもいち早く効果を出すためには、出数に影響が出やすいドリンクメニューの作り変えが有効であるなど、すぐにでも活用できる対策が満載で、参加者の皆さんは熱心に耳を傾けておられました。

 2人目の特別講師は、焼鳥居酒屋「カッシーワ」を6店舗運営しながら、WEB・SNSによる情報発信の専門家として活躍する、W.A.T株式会社 代表取締役 東 洋一郎氏。

 数多の情報発信ツールが出回る中で、東氏が今後5~10年使えるツールとして挙げられたのはグーグルマップとインスタグラムでした。そしてこれらのツールを使い、お店側が情報を発信する際に重要なのが、①自店のコンセプトが明確か、②自店に共感するターゲットが明確か、③自店を理解してもらう仕掛けを作る、という3点。東氏が運営する「カッシーワ」でも、近い立地の店舗同士でお客様の取り合いにならないようにコンセプトやターゲットを少しずつずらし、ターゲットに設定した層が目を引くような広告やキャンペーンを打ち、メニューも写真映えするものを多く取り揃えるといった仕掛けを作っています。

 10年前は、お店の看板や公式HPを確認した人が、ぐるなび等の予約サイトで予約して来店、というお店主体の情報発信が主流でした。しかし現在はSNSの発達にともない、一般ユーザーがSNSやブログで発信した情報を別のユーザーが発見、関心を抱き来店、という消費者の情報発信がきっかけになっていると言います。今の時代はお店からの発信である公式SNSやHPなどの「チャネル」の整備は最低限とし、お客様により多く発信してもらうための仕掛けを施すことが大切だと教えていただきました。

 質疑応答では、「紙やiPadに代わるメニュー表示媒体はありますか?」という会場からの質問に対し、谷口氏は「モバイルオーダーという仕組みに興味関心がある」と答えられました。マクドナルドで既に導入されているこのシステムには、店舗内でのオペレーションを変える力が秘められており、人手不足解消の効果が期待できるので、今後飲食店でも導入が進んでいくだろうとのことです。講師陣が共通して重要視されていたのは、情報発信ツールを上手く活用することで業務に余暇が生まれ、スタッフが接客サービスの向上に注力できるという点でした。時代の変化と共に多様化するお客様ニーズに対応する上でも、メニューブックやSNSは重要な役割を担っていると実感しました。

 セミナーの後には、飲食店とデザイナーを繋ぐ名刺交換会を実施しました。日頃自社でメニュー作成やWEB発信を行う社内デザイナーの多くに共通する「相談相手がいない」、「デザインがマンネリになりがちである」という悩みに応えるための交流会では、講師との名刺交換をはじめ、お客様同士でのご交流の場としてもご活用いただけました。

 参加者の皆さんからは、「今日から使える知識ばかりだったのですぐに活用したい」、「メニューブックやSNSの活用について根本的な考え方を変えられる良い機会になった」など、嬉しいお声を多数いただきました。売上UPだけでなく人手不足や教育にも役立つ情報発信ツールの刷新に、今こそ着手されてはいかがでしょうか?

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