岡山フードサービス株式会社

“代替肉”だけじゃない!次世代の新食材 大豆たんぱくの可能性を探る

 今後世界では、物価の高騰や人口増加により、肉や魚介類などの動物性たんぱくが手に入りにくくなることが危惧されています。そこで注目されているのが植物性たんぱく。今回はその中でも『大豆たんぱく』に注目しました。「肉の替わり」という認識が先行している大豆たんぱくですが、冷凍耐性の強さや、吸水性の高さなど、知られざる機能がたくさんあります。素材の特徴を理解し、活かすことで使い方が無限に広がるすごい食材なのです。そこで今回は大豆たんぱくのスペシャリストである不二製油の中井氏と、キッチンエヌの中村氏にご講演いただき、新たな活用法について一緒に考えました。

 まず不二製油㈱の中井さおり氏にご登壇いただきました。不二製油㈱は、1950年に創業、植物性油脂や業務用チョコレート、乳化・発酵、大豆加工素材の事業を展開する会社です。「驚きのおいしさ」を追求した製品開発を行い、食品市場や社会に貢献しておられます。今回は、大豆たんぱく製品のご紹介に加え、今後の市場についてもお話いただきました。
大豆は人間に必要な三大栄養素をバランスよく保有し、食物から摂取しなければならないアミノ酸を全て含みます。また、環境にも優しい食材で、資源の利用効率が高く、牛肉を肥育する同量の水やエネルギーではるかに多くの収穫が得られるそうです。食の未来を守るサスティナブルな食物として、今後の食生活に欠かせない存在と言えるでしょう。2030年には、プラントベースフードの世界市場が今の5倍以上になるとの予測も!今後更に広がる市場だということをデータを用いながらご説明くださいました。
不二製油㈱では、フレークタイプや顆粒タイプなど、多様な粒状大豆たんぱく製品を製造されています。また、大豆加工食品や豆乳製品の開発もされており、大豆ミートの野菜入りボール(動物性原料不使用の大豆加工食品)とソイデリス麹(豆乳発酵食品)の試食を提供していただきました。動物性たんぱく不使用とは思えない食感と味わいに参加者の皆さんは大変驚かれていました。

 次は実践編ということで、大豆たんぱくの研究に携わって18年の㈱キッチンエヌ中村氏より、実演も加えながらご講演いただきました。大豆たんぱくは、そのまま調理、もしくは戻してから加熱調理の2パターンが主流の使い方。会場の皆さんにも大豆たんぱくと水、コリアンダー入りの水をお配りし、実際に水を含ませて膨らんでいく様子をご覧いただきました。コリアンダー水で戻した大豆たんぱくはコリアンダーの香りが付き、大豆独特の臭いは感じにくくなりました。これは大豆たんぱくの保水力が機能している、と中村氏は言います。この保水力により、例えば大豆たんぱくと肉を使ってハンバーグを作った場合、肉が縮むことで出る肉汁を大豆たんぱくが取り込み、ジューシーさを閉じ込めるといった効果が期待できます。違いを実感していただくために、肉だけで作ったハンバーグと、大豆たんぱく入りのハンバーグの食べ比べを提供。大豆たんぱく入りの方がフワッとしていた、ジューシーに感じられた、とのお声をいただきました。
また、使い方の一つとして、おすすめのつなぎ材のご紹介も。大豆ミート同士は繋がらないため、つなぎ材が必須です。肉類を混ぜる場合は卵白・肉のミンチやすり身を、オールベジの場合は小麦粉とでんぷん等を混ぜ合わせるという方法を教えていただきました。少し工夫をすることで、使いやすくなる大豆たんぱく。実際に目で見て、触り、特徴や機能を学ぶことで、大豆たんぱくの使いにくいイメージが払拭されたのではないでしょうか。
その後、大豆たんぱくを活用したメニュー試食会を行いました。
【大豆たんぱく ご提案メニュー】(全6種)
①高たんぱく醤油せんべい&黒糖かりんとう
②シーチキン風大豆たんぱくのバゲット
③里芋の大豆フリッター
④クスクス風大豆たんぱく
⑤大豆ミートのベジカレー

 参加者の皆さんからは「大豆たんぱくのイメージが覆された」、「実際に店でも使ってみたい」といった声をいただきました。お2人のご講演を通して、大豆たんぱくが少し身近な存在になりました。肉の代わりとしてではなく、新素材としての可能性を今後も探ってまいります!

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